風にバタバタと
ボロボロに裂けた
気球の切れはしを はためかせて
それでも不思議に
墜ちることもなく
空っぽの竜骨のあいだを
ひゅうひゅうと
風が吹きぬける
凍てつく 薄く澄んだ空
裂けた気球が
もとにもどることもないのに
もとにもどす方法もないのに
それでも 飛びつづける
蒼い地表のかなたを
なにもなかったように
なにも失われなかったかのように
キャビンの操縦士の まばたきしない瞳には
刷毛ではいたような雲のほかには
なにも映らない
空っぽのままで
感覚もないままに
墜ち方を 知らない
空の幽霊船
何処へ・・・
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